教養・雑学
ハットトリックの「ハット」、何が語源?
サッカー中継で耳にする「ハットトリック」。1人が1試合で3得点する活躍を指しますが、なぜ「帽子(hat)」と呼ぶのかは意外と知られていません。
「ハットトリック」の語源として有力とされるのはどれでしょうか。
解説
クリケット発祥の言葉。1858年、イギリスのボウラー(投手)H・H・スティーブンソンが3球連続で3人を打ち取ったことを称え、観客が募金を集めて帽子(hat)を贈ったことが語源とされています。
クリケットでは、地面に立てた3本の木製の柱(ウィケット)に小さな横木を乗せた的を、ボウラーがバウンドさせながら投球して倒すとアウトになります。当時のプロ選手の報酬は決して高くなく、観客が帽子を回して募金する習慣があったとされています。スティーブンソンが3球連続でウィケットを取ったとき、集まったお金で新品の帽子が購入され、本人に手渡されました。この出来事が「hat-trick」という表現の広まるきっかけとされており、1865年のチェルムズフォード・クロニクル紙などに記録が残っています(Wikipediaほか複数の文献が同年を初出として紹介しています)。
言葉がスポーツをまたいで広まった結果、競技ごとに「ハットトリック」の中身は変わっています。サッカーでは1試合で1選手が3得点を挙げること、ラグビーでは1選手が3トライを決めることを指します。アイスホッケーでは同じく1試合3得点ですが、達成されると観客がリンクに帽子を投げ入れる光景が名物になっています。この帽子投げの習慣は、1950年代ごろにNHLで定着したとされており、クリケットの「帽子を贈る」という起源が形を変えて受け継がれているとも読めます。スポーツ以外でも「3回続けての快挙」をハットトリックと呼ぶことがあり、政治や芸能の文脈でも使われます。
日常会話でこの言葉を使うとき、「1試合に3ゴール」というサッカーの定義を基準にすると、多くの場面で通じます。競技によって「3つの何か」が変わる点を添えると、より正確に伝わります。