台風の名前はどう決まる?──「アジア名」の仕組み 教養・雑学
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台風の名前はどう決まる?──「アジア名」の仕組み


ニュースで台風の話題を聞くとき、日本では「台風十二号」のように番号で呼ぶのがふつうです。ところが、海外の報道や過去の大きな災害では「ハギビス」のような名前で語られることがあります。

じつは、発生した台風にはすべて固有の名前がついています。番号とは別に、国境をまたいで使われる呼び名。そして、それを決めているのは日本だけではありません。

01台風には「番号」と「名前」がある

日本でなじみのある「台風◯号」は、気象庁がその年の一月一日以降に発生した順につけていく番号です。年が明けると、また一号から数え直します。私たちがふだん耳にするのは、こちらの呼び方です。

これとは別に、台風には「アジア名」と呼ばれる名前がついています。北西太平洋で生まれる台風には共通のリストから名前が割りあてられ、日本だけでなく、周辺の国や地域が同じ名前で情報をやりとりします。番号は国内向け、名前は国をまたぐ連絡用、と役割が分かれています。

0214の国と地域で持ち寄った140個

アジア名の仕組みが始まったのは二〇〇〇年です。台風の影響を受ける十四の国と地域が、それぞれ十個ずつ名前を出し合い、あわせて百四十個のリストをつくりました。

使い方はシンプルで、台風が発生するたびにリストの上から順番に名前をあてていきます。百四十個を使い切ると、また最初の名前に戻ってくり返します。台風は一年におよそ二十五個ほど発生するため、リストが一巡するのはおおむね五、六年に一度という計算です。数年に一度、同じ名前が巡ってくることになります。

アジア名は、たくさんの台風を取り違えずに伝え合うための、国境を越えた共有リストです。

03日本が出しているのは「星座」の名前

日本が提案している十個の名前は、すべて星座に由来します。コイヌ、カジキ、コト、クジラ、ヤマネコなど、夜空の星座の名がそのまま台風の名前として並んでいます。

特定の人や団体を連想させず、どの国にとっても角が立たない。自然の事物であって、昔から人々に親しまれている。星座は、台風の名前に求められるそうした条件に、ちょうど合っていました。ちなみに、実際に台風を解析して名前をあてる作業は、世界気象機関から地域の担当に指定された日本の気象庁が受け持っています。

04大きな被害を出した名前は「引退」する

リストの名前は、ずっと固定されているわけではありません。大きな災害をもたらした台風の名前は、被害を受けた国や地域の求めに応じてリストから外され、別の名前に差し替えられます。人の名前でいえば「欠番」に近い扱いです。

日本が出していた「テンビン」も、二〇一七年にフィリピンで大きな被害を出したことから引退し、代わりに「コイヌ」が補充されました。二〇一九年に日本で甚大な被害を出した台風のアジア名「ハギビス」も、この台風を最後に使われなくなっています。二〇二四年に大きな被害を出した「ヤギ」「ウサギ」も引退が決まり、日本の星座の名前からは「トモ」「ヘビ」が新たに補充されました。強く記憶に残る名前ほど、次の台風には引き継がれない仕組みです。

05番号のうしろの、もうひとつの呼び名

ふだん番号で呼んでいる台風にも、リストのどこかで順番を待っていた名前があります。次の台風のニュースで、番号のうしろのアジア名をたしかめると、それはどこかの国の星座や動物、花の名前です。ハギビスのように、二度と使われない名前も、その列の後ろに静かに控えています。

アジア名は、防災の情報を国境の向こうとやりとりするための、実務の道具です。それでいて、一覧に星や生きものの名前が並んでいるのは、同じ海の台風に向き合ってきた国どうしの、ささやかな作法のようにも読めます。

出典:気象庁「台風の番号とアジア名の付け方」ほか公的機関の公表情報をもとに作成(2026年8月時点)。名前のリストや運用は変更される場合があるため、最新情報は気象庁の公式サイトをご確認ください。

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