心理学
夏休みの宿題を、ギリギリまで手をつけないのはなぜ?
夏休みの宿題を、最後の数日まで残してしまった記憶はありませんか。やろうと思っているのに手が動かない先延ばしには、心理学で説明されてきた仕組みがあります。
宿題のように「あとで大変になる」とわかっていても、つい先延ばししてしまう心理を説明する考え方として、もっとも近いものはどれでしょうか。
解説
正解は「目の前の楽さを大きく、将来の負担を小さく見積もる「現在バイアス」」。
つい先延ばししてしまう背景には、「現在バイアス」と呼ばれる心のクセがあるとされています。目の前の楽さや快さを実際より大きく、少し先の負担を実際より小さく感じてしまう——そのために「今はいいや、あとでやろう」が選ばれやすくなる、という考え方です。
現在バイアスは、行動経済学や心理学で研究されてきた考え方で、将来の価値を割り引いて評価する「双曲割引」とあわせて説明されることが多いとされています。たとえば「今日もらう千円」と「一年後の千百円」なら前者を選びやすいのに、「一年後の千円」と「一年と一日後の千百円」なら後者を待てる。遠い先どうしなら冷静に選べるのに、目の前のことになると近い誘惑に負けやすい、という偏りです。物事を後回しにする「先延ばし(プロクラスティネーション)」も、単なる怠けというより、不安や完璧主義、課題の見えにくさなど複数の要因がからむと考えられています。大切なのは、これが「生まれつきの性格で直らないもの」ではなく、環境や習慣の工夫で変わりうるとされている点です。
取りかかりにくいときは、最初の一歩をできるだけ小さく具体的にするのがコツとされています。「宿題をやる」ではなく「プリントを1枚、机に出す」まで下げる。締め切りも「8月末」ではなく「今日はこの1ページ」と細かく区切り、スマートフォンは別の部屋に置いて誘惑を遠ざける。やる気が出るのを待つより先に、「プリントを1枚開く」——始めの一歩を具体的に決めておくほうが、手は動き出しやすくなります。
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