「煮詰まる」は結論が出ない状態? ことば

「煮詰まる」は結論が出ない状態?

会議の途中で「ちょっと煮詰まってきたね」と言われて、進んでいるのか行き詰まっているのか、少し迷ったことはありませんか。

Q

「議論が煮詰まる」のもともとの意味に近いのはどちらでしょうか。

A.

解説

正解は「議論が十分に進み、結論に近づいた状態」。

本来の「煮詰まる」は、議論や検討が十分に進んで、結論が見えてきた状態を指すとされています。会議で「だいぶ煮詰まってきましたね」と言われたら、もともとは「もう少しで結論が出そうな良い状態」を意味する言葉です。

語源は、鍋の煮物が長く加熱されて水分が飛び、味やうまみが凝縮されていく様子からきたと言われます。

煮込むほどに中身が締まって仕上がりに近づくように、議論も重ねるほど論点が絞られ、結論に近づく──そうしたイメージが言葉の核にあるとされています。

「考えが煮詰まる」も、本来は煮詰まった鍋のように「中身が凝縮されて、答えが出る寸前」というニュアンスでした。

一方で、現代では「議論が行き詰まった」「アイデアが出ずに手づまりになった」という、ほぼ逆の意味でも広く使われています。「煮詰まって何も浮かばない」といった使い方を耳にした人も多いはずです。

文化庁の「国語に関する世論調査」でも、本来の意味と新しい用法の間で受け取り方が分かれる言葉のひとつとして取り上げられてきたとされ、近年は辞書類でも新しい用法を併記する流れが進んでいると言われます。

どちらが明確な誤りとは言いきれず、むしろ世代や場面によって受け取り方が分かれる、慣習の移り変わりの途中にある言葉と整理するのが穏当です。

実用面では、誤解を招きやすい言葉だと意識しておくのが安心です。

良い意味で伝えたいときは「結論が見えてきた」「方向性が定まってきた」、行き詰まりを伝えたいときは「行き詰まっている」「いったん整理したい」と言い換えると、相手との認識のずれが起きにくくなります。

相手がどちらの意味で使っているか迷うときは、「結論に近いということですか、それとも一度仕切り直す感じでしょうか」と確かめておくと無難です。

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