「煮え湯を飲まされる」、誰にされる? ことば

「煮え湯を飲まされる」、誰にされる?

悔しい目に遭ったときに使われる慣用句。本来は、ある人物関係を前提にした言葉です。

Q

「煮え湯を飲まされる」の本来の意味として、正しいのはどちらでしょうか。

A.

解説

正解は「信頼していた相手にひどい目に遭わされる」。

「煮え湯を飲まされる」が本来表すのは、「信頼していた相手に裏切られて、ひどい目にあう」ことです。敵や赤の他人ではなく、気を許していた相手だからこそ成り立つ言いまわしです。

「煮え湯」は煮え立った熱いお湯のこと。信頼している相手から差し出されたものを、疑わずに飲んだら実は熱湯だった──そんな油断と裏切りのイメージが語源とされています。もし敵が飲ませるのなら油断のしようがなく、信頼関係があってこそ成り立つ表現だという点が、意味を取り違えないための手がかりになります。

一方で近年は、「敵対する相手からひどい仕打ちを受ける」という意味で使う人も少なくありません。文化庁の「国語に関する世論調査」でも、慣用句の理解が本来の意味とずれて広がっている例がたびたび取り上げられてきました。ただし、こうした変化は言葉が誤りと決まったというより、使われ方が移り変わっている途中と見るほうが実情に近いでしょう。

文章で使うときは、「信頼していた人に裏切られて」という関係性がはっきり伝わる文脈に置くと、誤解が少なくなります。会話では前後の流れで伝わることも多いものの、書き言葉では受け取り方に幅が出やすいものです。

相手が敵対者である場面で使うと、本来の意味を知る人には引っかかって読まれることがあるため、誤解を避けたい場面ほど「裏切られて痛い目を見る」と言い換えることを意識すると安全です。相手や場面によって受け取り方が変わる言葉だからこそ、由来を知っておくと使い分けの判断がしやすくなります。

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