心理学
なぜ秋になると人恋しくなる?──季節と気分の心理学
夏が終わって、日が短くなってきたころ。ふと、誰かに会いたくなる。理由もなく寂しさがふくらんで、意味もなく連絡先を眺めてしまう。秋になると、こうした「人恋しさ」を感じる人は少なくありません。
なぜ、よりによって秋なのでしょうか。気のせいと片づける前に、季節と気分の関係を、心の面から少したどってみます。
この記事でわかること
01「秋になると寂しい」は、気のせいとは言い切れない
秋の人恋しさには、いくつかの説明が考えられています。代表的なのが、日照時間の変化です。秋分を過ぎると昼はどんどん短くなり、夕方5時には薄暗い、という日がやってきます。
光の量と気分の関係は古くから研究されていて、日照時間が短くなる季節に気分が沈みやすくなる人がいることは、季節性の気分の変化として知られています。程度は人それぞれですが、「秋になるとなんとなく寂しい」という感覚には、季節の側にも理由があるかもしれないのです。
02日が短くなると、心はどうなる?
日光を浴びる時間は、心の安定に関わるとされる脳内の働きや、体内時計のリズムに影響すると考えられています。日が短くなれば、光を浴びる時間は自然と減っていきます。
また、夕方の早い暗さは、「1日が終わってしまう」という感覚を連れてきます。同じ時刻でも、明るい夏の夕方と、暗い秋の夕方とでは、心に浮かぶものが違う。夕暮れが早まることそのものが、物思いのスイッチになっている面もありそうです。
03夏の「にぎやかさ」との落差
もうひとつの説明は、対比です。夏は、祭りに旅行に帰省にと、人と会う機会が多い季節です。予定がぎっしりだった8月が終わり、9月のカレンダーがすっきり空く。その落差が、静けさを寂しさとして感じさせることがあります。
秋の人恋しさは、心が弱ったサインというより、にぎやかな季節から静かな季節への「切り替えの揺れ」なのかもしれません。
04人恋しさは、つながりを整えるサイン
心理学には、寂しさをただの弱さではなく、「人とのつながりを求めるサイン」とみる考え方があります。空腹が食事をうながすように、寂しさは誰かとの関わりをうながしている、という見方です。
そう考えると、応え方も見えてきます。久しぶりの相手に短い連絡をひとつ送る。電話を一本かける。会う予定をひとつ入れる。大きなことでなくていいので、「つながりをひとつ足す」ことが、人恋しさへの素直な応え方になります。「急にどうしたの」と思われそうで気が引けるなら、季節の話題がちょうどいい口実になってくれます。
05寂しさは、秋の夜長の入り口でもある
一方で、秋の静けさは悪いものではありません。読書や音楽、温かい飲み物。夏にはできなかった、ひとりの時間の楽しみが似合う季節でもあります。寂しさを埋めるだけでなく、静けさを味わう方向へ転がすこともできます。人恋しさも静けさも、どちらも秋の一部。行き来しながら過ごせば十分です。
ただし、気分の落ち込みが何週間も続く、眠れない、何をしても楽しめない、といった状態が続くときは、季節のせいと片づけずに、医療機関や相談窓口を頼ってください。秋の物思いと心の不調は、分けて考えることが大切です。
本記事は一般的な心の動きの傾向を紹介したものです。感じ方には個人差があります。気分の落ち込みが長く続く場合や日常生活に支障がある場合は、医療機関や公的な相談窓口、信頼できる人への相談も選択肢にしてください。
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