心理学
花火大会が「最後に一気に上がる」のが心に残るのは、なぜ?
花火大会でいちばん覚えているのは、たいてい最後に一気に上がったところ。長く見ていたのに終わり近くだけが強く残るのには、心理学の名前がついています。
経験の印象が、いちばん盛り上がった瞬間と終わりぎわで決まりやすい、とされる心理を何と呼ぶでしょうか。
解説
正解は「ピークエンドの法則」。
経験の印象が、いちばん盛り上がった瞬間(ピーク)と、終わりぎわ(エンド)で決まりやすい心理を「ピークエンドの法則」と呼びます。
行動経済学で知られる心理学者ダニエル・カーネマンらが示した考え方です。人は過ぎた体験を振り返るとき、その一部始終を平均するのではなく、感情がもっとも強く動いた瞬間と、最後の場面の印象をもとに、全体の良し悪しを判断しやすいとされています。その体験が「どれだけ長く続いたか」は評価にあまり響かない、とも報告されています。よく引かれるのが、冷たい水に手をつける実験です。同じ冷たさをしばらく味わったあと、最後だけ水温をわずかに上げて終えると、時間は長くなるのに「まだこちらのほうがましだった」と記憶されやすかった、という結果が知られています。この見方は、病院の検査や行列の待ち時間、旅行やイベントなど、日常のさまざまな場面にあてはまるとして紹介されてきました。つらい時間の総量より、山場と終わり方が記憶を左右する、という見立てです。
花火大会が終盤にスターマインを畳みかけるのも、この見方と重なります。演出には運営側の事情もありますが、いちばん大きな山を最後に置く並べ方は、記憶のこの癖とうまくかみ合っています。派手なのは終盤のわずか数十秒。その短い時間が、二時間ぶんの記憶を決めてしまうこともあるわけです。食事なら締めのデザート、旅行なら帰りぎわの一場面。終わりを少していねいにするだけで、同じ体験でも記憶の残り方が変わってきます。
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