占いや性格診断が「当たってる」と感じる理由──バーナム効果 心理学
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占いや性格診断が「当たってる」と感じる理由──バーナム効果


占いや性格診断の結果を読んだとき、「自分のことが書いてある」と感じることがあります。けれど、別の人の結果を見ても、なんだか当てはまる気がする。

この「誰にでも当てはまる説明を、自分に向けられたものだと感じる」現象には、心理学で「バーナム効果」という名前があります。仕組みを知ると、占いや診断との付き合い方が少し変わります。

01バーナム効果とは

バーナム効果は、心理学者バートラム・フォアが1948年に行った実験で広く知られるようになった現象です。フォア自身は当初「個人的妥当化の誤謬」と呼んでおり、その後1956年に心理学者ポール・E・ミールが「バーナム効果」と名付けたとされています。フォア効果とも呼ばれます。曖昧で当たり障りのない性格描写を「あなただけの分析結果」として提示すると、多くの人が「自分のことだ」と感じてしまう、という現象です。

フォアの実験はよく知られています。彼は学生に性格テストを受けさせ、後日「あなただけの結果」と称した同じ一通の文章を全員に配りました。「あなたは他人に好かれたいという欲求を持っているが、自分には批判的なところもある」といった文が並んだその診断に対し、学生たちが付けた「自分に当てはまる度合い」の平均は、5点満点でおよそ4.3点だったと伝えられています。中身は全員同じだったにもかかわらず、です。

もとの名前は、19世紀の興行師フィニアス・テイラー・バーナムが残したとされる「誰にでも何かは当てはまる」という発想に由来します。血液型による性格分類や、雑誌の星座占いが「よく当たる」と感じられるのも、この効果が背景のひとつにあると考えられています。

「自分のことが書いてある」と感じたとき、それは自分への分析であると同時に、人類への分析でもある可能性があります。

02なぜ「当たってる」と感じるのか

バーナム効果が成立するのには、いくつかの仕掛けがあります。

1つ目は、説明の表現が曖昧で、複数の解釈ができるように作られていること。「あなたは時に外向的ですが、内側ではよく考えるタイプ」という文は、どちらの傾向を持つ人にも当てはまります。「ときどき」「ある面では」といった言葉が入ると、当てはまらない瞬間があっても矛盾しなくなる、という点もポイントです。

2つ目は、人が情報を受け取るときに、自分の経験や記憶のなかから「当てはまる部分」を探し出してしまう傾向。これは「確証バイアス」と呼ばれる別の心理現象とも結びついていると考えられています。確証バイアスとは、自分の考えに合う情報ばかりを集めてしまう心のクセのことです。「社交的なところがある」と書かれれば、人前で話せた場面を思い出し、書かれていなかった人見知りの記憶は、自然と脇に置かれていきます。

3つ目は、「これはあなたのために用意された結果です」と提示されることで、無意識に「自分に向けられたもの」として読む構えができること。同じ文章でも、誰のためにという入り口が変わると、受け取り方が変わります。さらに、占い師や診断を「専門的だ」と感じているほど、その内容を受け入れやすくなる傾向も指摘されています。前向きで好意的な描写ほど受け入れやすい、という点も知られています。

03占いや性格診断が、無意味なわけではない

バーナム効果を知ると、占いや性格診断はすべて気休めじゃないか、と感じる人もいるかもしれません。けれど、その捉え方は少し惜しい気がします。

占いや診断には、自分一人では気づきにくい視点を、外側から差し入れてくれる役割があります。診断結果を読んで「これはちょっと違うな」と感じたとしても、そう感じた理由を考えてみるだけで、自分が大事にしている価値観が見えてきます。たとえば「あなたはリーダー向き」と書かれて違和感を覚えたなら、自分は前に出るより支える側でいたいのかもしれない、というふうに。

性格を5つの大きな要素でとらえる「ビッグファイブ」のように、研究の積み重ねを土台にした性格分析の方法もあります。占いや娯楽としての診断と、研究にもとづく心理検査とは、成り立ちが異なるものとされています。どちらが上ということではなく、それぞれ使いどころが違う、と考えておくと混乱しにくくなります。

大事なのは、「結果を信じ込む」ことでも「結果を全否定する」ことでもなく、「結果をきっかけに、自分の感じ方を確かめる時間にする」こと。占いや診断は、自分自身と向き合うための入口として使うと、より豊かに働きます。

04バーナム効果に振り回されない読み方

占いや診断の結果を読むときに、振り回されすぎないコツがあります。

ひとつは、「当てはまる部分」だけでなく「違うと感じた部分」もちゃんと見ること。当てはまる部分を数えていくと、人は多くが当たっていると感じやすいものです。一方で、違和感のある部分に注目してみると、自分が本当に大事にしていることや、診断とのズレが見えてきます。

もうひとつは、別の人の結果を読んでみること。家族や友人の診断結果を見て、「あれ、自分にも当てはまる」と感じたら、その時点でバーナム効果が働いていると気づけます。星座が違う友人の今日の運勢を、入れ替えて読んでみる、という小さな実験でも、効果の正体は案外あっさり見えてきます。

結果に振り回されないいちばんの近道は、「これは自分専用の答えだ」と思わずに、「いくつかある見方の中から、自分に響いた部分を受け取るくらいの距離感」で受け止めること。それくらいの距離感だと、占いも診断も、自分を縛らない楽しみのまま使えます。

05仕組みを知ったうえで、楽しむ

バーナム効果は、特別な人だけが引っかかる現象ではありません。誰の脳にも、自然と起きる傾向です。だから、自分が「当たってる」と感じたとしても、それはおかしなことではありません。

仕組みを知っていれば、結果に過剰に振り回されずに、楽しめます。「これは曖昧だから当てはまるんだ」と気づくのも、ひとつの楽しみ方。逆に、「曖昧でもいいから、自分の輪郭がそうやって見えてくる時間が好き」と認めるのも、また別の楽しみ方です。

占いや診断は、答えをくれるものではなく、問いを返してくれるもの。そのくらいの距離感で付き合うと、信じすぎず、でも切り捨てすぎずに楽しめます。今日どこかで占いの結果を目にしたら、「これはどんな人にも当てはまる言い方かな」と一度立ち止まってみてください。当たっているかどうかより、その問いを自分に向ける時間のほうが、きっと長く残ります。

気分の落ち込みが続いたり、つらさが大きいと感じるときは、ひとりで抱え込まず、お住まいの自治体の相談窓口や「こころの健康相談統一ダイヤル」などの公的な窓口に話してみてください。

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