間違えやすい敬語10パターン|文化庁調査でわかる「気になる人が多い言葉」 仕事・マナー
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間違えやすい敬語10パターン|文化庁調査でわかる「気になる人が多い言葉」


仕事のメールやちょっとした会話で、「あれ、この敬語って本当に合ってるかな?」と感じた経験はありませんか。明確な誤りではなくても、「目上には使わないほうが無難」とされる表現は意外と多くあります。

敬語は地域や世代で受け取り方が変わりやすく、「絶対に間違い」と言い切れるものは多くありません。白黒をつけるよりも、「相手にどう響くか」を手がかりにすると、迷いにくくなります。

01「了解しました」「なるほど」──返事・相づちの3つ

まずは、つい使ってしまいがちな返事・相づち系から。短い言葉ほど反射的に口から出てしまうので、無意識のうちに繰り返してしまいやすい場面でもあります。

  1. 了解しました

    日本語として明確な誤りではありませんが、目上の相手には「承知しました」「かしこまりました」を使うのが無難とされています。「了解」は無線などの応答でも使われてきたともいわれ、近年になって「目上には失礼」というイメージが定着したとも言われています。歴史的に見れば誤りとまでは言えないものの、気にする人が一定数いる以上、相手に合わせて選ぶのが安全です。

  2. なるほど

    便利な相づちですが、目上の人に使うと「上から評価しているように響く」と感じる人もいます。「おっしゃる通りです」「勉強になります」などに置き換えると安心です。とくに「なるほどですね」という言い方は、文法的にも落ち着かず、ビジネスの場では避けたほうが無難とされています。

  3. ご苦労様です

    本来は労をねぎらう言葉ですが、現代のビジネス慣習では「目上から目下へ」のねぎらい表現として広まっています。目上の人には「お疲れ様です」が一般的です。ただし「お疲れ様」も本来は同僚同士の言葉で、社外の取引先に使うと違和感を覚える人もいます。社外には「お世話になっております」などに切り替えると、より丁寧に伝わります。

02「お世話になっております」「取り急ぎ」──メールの3つ

続いて、ビジネスメールでよく目にする表現から。定型句は便利な反面、自動的に書いてしまうと相手や場面とずれることがあります。

  1. お世話になっております

    社外向けの定型句として広く使われていますが、社内メールでは「お疲れ様です」のほうが自然と感じる人が多い傾向にあります。会社や部署の文化によって違うので、迷ったら周りの慣習に合わせるのが現実的です。初めて連絡する相手には「初めてご連絡いたします」「突然のご連絡失礼いたします」と書き出すと、いきなり「お世話になっております」と書くより実情に合います。

  2. 取り急ぎ

    「正式な対応の前に、まず急ぎでお伝えする」という意味。報告や第一報には自然ですが、お礼やお詫びのような相手の感情に関わる場面には向かないとされます。「取り急ぎお礼まで」と書くと、せっかくの感謝が事務的に映ってしまうことがあるため、「まずは書面にて御礼申し上げます」のように言い換えると丁寧さが伝わります。

  3. よろしくお願いします、を多用しすぎない

    便利すぎるあまり、メールの締めに毎回つけるとぼんやり伝わる原因に。「ご確認のほど、よろしくお願いします」「ご対応のほど、よろしくお願いします」のように、何のお願いかを添えるだけで、伝わり方が変わります。期限がある場合は「○日までにご返信いただけますと幸いです」と具体的に書き添えると、相手も動きやすくなります。

03「させていただきます」──二重敬語・過剰敬語の3つ

丁寧にしようとして、かえって違和感が出るパターンもあります。文化庁の「国語に関する世論調査」でも、過剰な敬語や二重敬語を「気になる」と答える人は一定数いることが報告されています。

  1. させていただきます

    許可をもらって行う場面では自然ですが、自分の意志で行うことに使うと過剰になります。「お送りさせていただきます」より「お送りいたします」のほうがすっきりします。文化庁の「敬語の指針」でも、「させていただく」は本来「相手側の許可を受けて行い、そのことで自分が恩恵を受ける」場合に使うのが適切とされています。許可も恩恵も関係しない動作に重ねると、くどい印象になりやすいわけです。

  2. 拝見させていただきました

    「拝見する」がすでに謙譲語なので、「させていただく」を重ねるとくどく感じられることがあります。「拝見しました」で十分です。同じように「お伺いさせていただきます」も重複しがちで、「伺います」で過不足なく伝わります。

  3. おっしゃられる

    「おっしゃる」が尊敬語、「られる」も尊敬の助動詞のため、二重敬語になります。「おっしゃる」で完結します。同様に「ご覧になられる」も「ご覧になる」、「お見えになられる」も「お見えになる」で十分です。敬語は重ねるほど丁寧になるわけではない、と覚えておくと迷いにくくなります。

04「ご一緒します」──地味だけど気づかれる1つ

最後に、地味だけれど気づく人は気づくパターンです。

ご一緒します

目上の人に使うと、「並んで一緒に」というニュアンスが強く出てしまうため、使い方によっては馴れ馴れしく響くことがあります。「お供させていただきます」「ご一緒させてください」のほうが、距離感としては安心です。たとえば上司から食事に誘われたとき、「ご一緒します」より「ぜひお供させてください」と返すほうが、立場をわきまえた印象になります。

敬語は「正しさ」より、「相手の受け取り方」を意識すると、自然な選択ができます。

05「無難な選択肢」をひとつ持っておく

敬語のすべてを覚える必要はありません。仕事のなかで使う表現は、ある程度限られています。それぞれの場面で、「迷ったときの無難な選択肢」をひとつ覚えておくと、落ち着いて言葉が選べるようになります。

了解しました→「承知しました」。なるほど→「おっしゃる通りです」。ご苦労様です→「お疲れ様です」。お世話になっております(社内)→「お疲れ様です」。取り急ぎお礼まで→「まずは書面にて御礼申し上げます」。

こうした「迷ったときの一手」を持っておくだけで、ビジネスメールや口頭の場面でぐっと余裕が生まれます。完璧な敬語を目指す必要はなく、相手が安心して受け取れる言葉を選ぶ──そのほうが、実際の場面では使いやすいマナーになります。

もうひとつ覚えておきたいのは、敬語の「正解」は時代とともに動いている、ということです。かつて失礼とされた表現が普通になることもあれば、その逆もあります。気にする人が多い言葉を避けつつ、相手や職場の雰囲気に合わせて少しずつ調整していく。気になる言い回しがあったら、信頼できる先輩のメールが、どんな言葉で結ばれているかを一度見てみる。

本記事の用法・調査結果に関する記述は、文化庁「国語に関する世論調査」「敬語の指針」などを参考にした2026年6月時点の整理です。最新の見解は文化庁の公式資料でご確認ください。会社・業界・地域によって慣習が異なる場合があります。

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