心理学
年末の用事を先延ばししてしまう──「最初の5分」を小さくする工夫
「時間のある日にやろう」と置いた封筒が、食卓の端にまだある。中身を確かめれば済むはずなのに、見るたびに少し気が重くなる。
11月は、そんな用事を見直すのにちょうどよい時期です。全部を片づける休日が取れなくても、封を開ける数分なら作れるかもしれません。どこから始めるかを、具体的にしてみます。
この記事でわかること
01「年末準備」では、最初の動作が見えない
メモに「年末準備」と書いてあっても、そのままでは何をすればよいのか迷います。予約先を探すのか、家族の日程を聞くのか、必要な書類を確認するのか。いくつもの仕事が一つの言葉に入っているからです。
先延ばしをした自分への反省を書く前に、用事の名前を書き換えてみましょう。「書類を片づける」なら「封筒を開けて提出期限を見る」。終わったかどうかがわかる動作まで絞ります。
分け方に迷ったら、「その場面を写真に撮れるか」を目安にしてみるのも一案です。「準備を頑張る」は写せませんが、「机に封筒を一通置く」「日程表を開く」なら、していることが目に見えます。これは専門的な判定法ではなく、曖昧なメモを書き換えるための問いかけです。
一つの項目に「確認して、相談して、申し込む」と動詞が並んだら、別々の項目にしてみます。確認までは自分でできても、相談には相手が必要です。同じ日に全部終えられない用事だとわかれば、どこまで進めるかも決めやすくなります。
025分は、始めるための仮の区切り
西オーストラリア州の臨床介入センター(CCI)の教材には、まず5分だけ取り組み、時間が来たら続けるかを考える方法が紹介されています。長い作業を最初から引き受けず、短い単位で着手する工夫です。
5分で特別な効果が起きるという話ではありません。ここで試すなら、タイマーを置き、必要なページを開くところまででも十分。次の5分を使うか、今日は区切るかは、その時点で選びます。
始める前には、区切りが来たときの約束も決めておきます。「5分だけ」のつもりなのに、毎回その後一時間やらなければいけないなら、次に始めるときも重く感じそうです。今日は本当に短く終えるのか、余力があれば続けるのか、自分で選べるようにします。
途中で新しい用事が目に入ったら、すぐ手を広げず、別の紙に控えておきましょう。書類を一通見るつもりが、引き出し全体の整理に変わってしまうこともあります。取りかかる範囲を決めておくと、当初の用事がどこまで進んだか見失いにくくなります。
03予約なら「候補を二つ書く」まで
たとえば美容院の予約を後回しにしている場合。「予約を終える」を目標にすると、空き枠の確認、予定の調整、申し込みまでが一度にのしかかります。
最初は手帳を見て、行ける日時を二つ書くだけにします。次に空き枠を確認し、合わなければ別の候補へ。途中で時間が切れても、候補が残っていれば次回は探し直さずに済みます。今できる作業と、相手の返事が必要な作業も分けておきましょう。
誰かと日程を合わせるなら、「いつがいい?」とだけ送るより、「土曜の午前か日曜の午後なら空いています」と候補を添えるやり方もあります。相手が選べない場合も、その返事を受けて探し直せます。最初の連絡で最終決定まで済ませようとしなくてよいのです。
反対に、営業時間内に電話する必要がある用事は、夜の空き時間だけでは完了しません。夜に番号と聞きたいことを控え、翌日の昼に電話する、と時間帯も分けられます。作業の長さだけでなく、いつなら進められるかを考えるのが、予約や問い合わせでは役立ちます。
04止まったところには、理由がある
始めてみたら、書類の意味がわからず止まることもあります。その場合、さらに気合いを入れるより「何を問い合わせれば進むか」をメモするほうが実用的です。
家族の予定が未定なら、聞く相手と連絡する日を決める。物が見つからないなら、探す場所を一つ選ぶ。用事ごとに止まる理由は違います。疲れている日に大きな判断を残していないかも、合わせて見直せます。
手帳を見ても空き時間がない場合は、用事を細かくするだけでは解決しません。今週でなくてもよい仕事を移す、家族と分担する、引き受けた範囲を相談し直すといった調整も候補です。作業を小さくすれば、どんな量でもこなせるわけではないからです。
「やり方がわからない」のか、「答えを待っている」のか、「そもそも時間がない」のか。止まった用事の横に理由を一つ書いてみると、次に必要なのが検索なのか、連絡なのか、予定の相談なのかを見分けやすくなります。自分の性格の話にする前に、手元の条件を確かめます。
05再開するときの自分に、一行残す
作業を終えるときは、「次は予約画面で11月18日の空きを見る」のように、続きの一行を残しておきます。「途中」とだけ書くより、後日の自分が動きやすいメモになります。
済んだ作業を消すだけでなく、「期限を確認した」「必要な物がわかった」と短く残しておく方法もあります。大きな用事が未完了でも、どこまで調べたかがわかります。同じ確認を何度も繰り返さずに済むので、家族へ引き継ぐときにも使える記録です。
もし決めた日にできなかったら、次の予定を立てる前に、時間帯や作業量を見直します。毎晩くたびれているなら休日の朝に回す、難しければ一緒に見る人を頼む。一度うまくいかなかった方法を、そのまま繰り返す必要はありません。
締切の近い用事は、5分で区切るだけでは間に合わないこともあるので、残りの時間を確保するか、早めに手助けを頼みます。食卓の封筒なら、今日は期限を確かめるところから。その結果を見て、次の予定を決められます。
CCIのセルフヘルプ教材を参考に、年末の用事に置き換えた実践例です。5分という時間や、特定の方法による効果を保証するものではありません。
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